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夏ミカン、いっぱいなります


ハッサク、イヨカン、夏ミカン、ヒュウガナツ、
デコポンなどをまとめて雑柑類と呼びます。

酸味が強い甘みが強いなど品種にそれぞれ特徴がありますが、
大きな実をならせ、果汁が多い柑橘類です。

ハッサク イヨカン、夏ミカン、ヒュウガナツ、デコポンなどの、
庭植えの育て方を、ご紹介していきます。


いずれも実が樹上でなったまま越冬するため、
温州ミカンよりも耐寒性が弱く、
マイナス5℃ぐらいまでしか寒さに耐えられません。

これよりも低温になってしまうと凍害や落果などにより、
結実が安定しません。


arrow46-011.gif栽培ポイント
1.寒い地域では早生種を選ぶか、早目に収穫して貯蔵します
2.1本で結実する品種でも、ミツバチなどが飛ばない地域は人工受粉を行います
3.寒さに弱いので防寒対策を必ず行います



[雑柑類 庭植えの育て方]


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ハッサク、夏ミカンやイヨカンを受粉樹にします


■栽培適地と品種の選び方

・栽培適地
関東地方南部以西の地域、暖かい場所が適しています。

・品種選び
夏ミカンは果実が大きく、果汁が多くて酸味が少ない
「川野夏ダイダイ(甘夏)」がよく知られています。
この品種が一般的に夏ミカンとして店頭に並んでいます。

イヨカンは「大内」や「大谷」が果汁が多く、甘みも強いのでおすすめです。

ビュウガナツやハッサクは特に品種はありません。
自分の花粉だけでは受粉しにくいので、
夏ミカンやイヨカンを受粉樹として一緒に育てます。


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ハッサクの花


■植え付け

寒さが去った3月下旬〜4月上旬に植え付けます。
冬の寒い風と夏の西日が当たらない場所を選びます。

植え穴は直径、深さ共に40cmぐらいに掘ります。
その掘り上げた土に腐葉土を混ぜます。
さらにその半分に堆肥、油かす、牛ふんを混ぜ先に埋め直します。

土質は特に選びませんが、粘土質な土は適していません。
植えつけ後は水をたっぷりと与えます。


■仕立て方

主枝を3本ぐらいにした「開心自然形」仕立てが一般的です。

接ぎ木部分から40cm〜50cmぐらいのところに出た
元気がよい枝を第一主枝とします。

Vの字状に主枝を2本伸ばし、側枝を前後に出させます。
側枝の上の枝が込み合わないように、間引き剪定をします。


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ハッサクのまだ青い実


■剪定

剪定は3月上旬〜萌芽する4月ぐらいが適しています。
常緑樹の柑橘類は冬も葉が栄養分を作り出します。
落葉樹のように剪定は強く行いません。

たくさん花芽がついた「なり年」は隔年結果を防ぐため、
前年に伸びた夏枝、秋枝を切り返します。

あまり花芽がつかなかった「ふなり年」は、
間引き剪定程度で、軽くしておきます。

果梗枝には花芽がつかないので、多すぎる時は切り落とします。
ただし果梗枝から翌年花芽がつく枝が発生します。

隔年結果を防ぐため、今年と来年収穫する枝のバランスを考え、
1/2から1/3ぐらいの枝を切ります。 


夏ミカンは大きな樹に成長し、樹のやや内側に実がなります。
樹の内側まで光が入りこむように、
込み入った枝、枯れた枝、成長を邪魔する枝を切り戻します。

ハッサクは樹の成長が早く枝が密になりやすいです。
不要な枝を間引く剪定を中心にします。

剪定時期に実がついている品種は、不要な枝を切り戻す程度にします。
収穫後に細かい枝を切り戻します。


■栽培管理

・施肥
実を充実させるためには、葉をしっかりと育てる必要があります。
春枝の葉は、6月ぐらいまで成長するので、
3月ごろに元肥として有機質肥料の油かすや堆肥を施します。

冬季に実をつけている品種は、
11月下旬〜12月にも有機質肥料の油かすや堆肥を施します。

・受粉
5月になると花が咲きます。
ビュウガナツやハッサクは1本だけでは結実しにくいです。

夏ミカンなどの受粉樹と一緒に植えるか、
夏ミカンの花粉を綿棒で取り、人工授粉を行います。

・摘果
隔年結果を防ぐため、自然落果が終わったころに摘果をします。
傷ついた実、大きすぎる実、病害虫にあった実を先に摘みます。

ヒュウガナツは葉の数が50枚〜60枚に1果ぐらい、
夏ミカンやイヨカンは、葉の数が70枚〜80枚に1果ぐらいを目安に摘みます。


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デコポンも人気ですね


■収穫

種類、品種によって違いますが12月中旬〜6月上旬ぐらいが収穫時期です。

夏ミカンの本来の収穫時期は、4月上旬から5月上旬です。
しかし真冬の寒害から守るため、寒冷地では12月下旬から収穫します。
他の品種も同じ理由で、早目に収穫することがあります。

雑柑類は寒さに弱く、果汁が失われて酸味が強くなる場合があります。
寒冷紗などで覆って、防寒対策を行った方が無難です。


■病害虫

・カイガラムシ
5月中旬ごろから枝に、貝殻状のものがついてしまいます。
見つけ次第、古い歯ブラシなどでこすりとります。
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