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家庭で栽培すると本来のおいしさがわかります
ミカンと言えば温州ミカンを指しますが、
柑橘類の中で日本で一番栽培されている果樹です。
ミカンは、他の柑橘類と比べて耐寒性があります。
関東以西の地域であれば、庭植え栽培も可能です。
樹高が3mぐらいの常緑樹なので、庭の境界線にスクリーンとして利用できます。
また葉のグリーンと実のオレンジ色のコントラストが美しく、
シンボルツリーとしても楽しめます。
市販の果実は食べごろを過ぎている場合が多いですが、
家庭で栽培すると食べごろを見計らってみずみずしい実を味わえます。
ビタミンCが豊富で、冬の代表的な果物のひとつです。

1.隔年結果になりやすいので、摘果で実つきを抑えます
2.やや酸性土壌を好みます
3.収穫はやや青みが残っていても可能です
[ミカン 庭植えの育て方]
■栽培適地と品種の選び方
・栽培適地
関東地方以西の地域、暖かい場所が適しています。
・品種選び
温州ミカンには早生種と普通種の2種類があります。
早生種は寒さが厳しくなる前に収穫できる長所があります。
よって暖かくない地域でも栽培が難しくありません。
普通種は味がよい実がなります。
ただし12月ごろの収穫後、寒さで樹勢の回復が遅れた場合、
1年おきに実つきが悪くなる隔年結果を起こしやすい短所があります。
家庭果樹としては早生種がむいています。
1本でも結実するので、他品種を一緒に植える必要はありません。
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ミカンの花は人工授粉は不要です
■植え付け
苗木は2月下旬ごろから店頭に並びます。
しかし植え付けは3月下旬〜4月上旬が適しています。
庭の南側あるいは西日が当たる日当たりがよく、
冬に冷たい風が当たない場所を選びます。
植え穴は直径、深さ共に40cmぐらいに掘ります。
その掘り上げた土に腐葉土を混ぜます。
さらにその半分に堆肥、油かす、牛ふんを混ぜ先に埋め直します。
土質は特に選びませんが、粘土質な土は適していません。
植えつけ後は水をたっぷりと与えます。
■仕立て方
温州ミカンをはじめ柑橘類は、主枝を3本ぐらいにした
「開心自然形」仕立てが一般的です。
接ぎ木部分から15cm〜20cmぐらいのところに出た
元気がよい枝を第一主枝とします。
残り2本は左右のバランスを見ながら決めます。
■剪定
剪定は3月上旬〜萌芽する4月ぐらいが適しています。
常緑樹の柑橘類は冬も葉が栄養分を作り出します。
落葉樹のように剪定は強く行いません。
まず樹の内側まで光が入りこむように、
込み入った枝、枯れた枝、成長を邪魔する枝を切り戻します。
たくさん花芽がついた「なり年」は隔年結果を防ぐため、
前年に伸びた夏枝、秋枝を切り返します。
あまり花芽がつかなかった「ふなり年」は、
間引き剪定程度で、軽くしておきます。
果梗枝には花芽がつかないので、多すぎる時は切り落とします。
ただし果梗枝から翌年花芽がつく枝が発生します。
隔年結果を防ぐため、今年と来年収穫する枝のバランスを考え、
1/2から1/3ぐらいの枝を切ります。

色づいていくミカン
■栽培管理
・施肥
実を充実させるためには、葉をしっかりと育てる必要があります。
春枝の葉は、6月ぐらいまで成長するので、
3月ごろに元肥として有機質肥料の油かすや堆肥を施します。
実がついて葉色が悪い時だけ、カリや窒素分を補います。
収穫後は2割ほど骨粉を入れた油かすを追肥として施します。
・受粉
5月になると花が咲きますが、1本で結実するので人工授粉は不要です。
・摘果
すべての実をならすと樹が疲労してしまうので、
翌年の実つきが悪くなってしまいます。
隔年結果を防ぐため、自然落果が終わったころに摘果をします。
傷ついた実、大きすぎる実、病害虫にあった実を先に摘みます。
葉の数が25枚〜30枚に1果ぐらいが目安です。

収穫時期に水やりを控えると甘味が増します
■収穫
品種によって違いますが10月〜12月ぐらいが収穫時期です。
緑色からオレンジ色に色づく頃が完熟期です。
収穫時期に水やりを控えめにすると、実が甘くなります。
花芽は1月〜2月に出来るので、お正月前に実を取ってしまいます。
■病害虫
・そうか病
葉、新梢、果実に感染する病気です。
葉はイボイボ状になり、実はかさぶたのように硬くなります。
長雨、窒素肥料の与えすぎに注意します。
病気にかかってしまったら、その部分を取り除いて焼却処分します。
・アブラムシ
新芽が伸び出す4月〜6月ごろに発生します。
見つけ次第ブラシでこすったり、牛乳を散布します。
被害にあってしまった枝葉は処分します。
・カイガラムシ
5月中旬ごろから枝に、貝殻状のものがついてしまいます。
見つけ次第、古い歯ブラシなどでこすりとります。