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ユズ、柑橘類のなかでは耐寒性が強いです


ユズは柑橘類の中でも耐寒性が高く、日本でも育てやすい果樹として親しまれています。
春〜夏は白い花が楽しめ、樹が成熟すれば実を楽しむこともできます。

耐寒性が強いとされるユズですが、冬の間に枯れたという話を時々聞きます。
寒さに強いはずのユズが、何故冬の間に枯れてしまうのでしょうか。


また、ユズを無事に冬越しさせるコツを分かりやすくご紹介していきます。


[ユズ 冬越し]


■ユズの耐寒性

ユズは耐寒性が強いといっても、
あくまでも柑橘類の中ではということなので、過信してはいけません。

ユズはどれほど寒くても耐えられるほど、耐寒性が強くありません。

では、だいたいどれくらいの寒さなら耐えられるかというと、
マイナス7度がボーダーラインとなります。


これよりも寒くなると、寒さによって、株が完全に枯死します。
では、マイナス7度までなら絶対に大丈夫かというと、そうではありません。

確かにマイナス7度までは耐えられますが、それが続くと、
落葉してしまい、著しく株の状態が悪くなることがあります。

マイナス5度くらいで葉が冷害にあい、落葉することが多くなります。
ユズなどの柑橘類は、冬になっても葉を落とさない常緑樹です。

そのため、冬の間はできるだけ健全な葉を残し、株を養生しておくことが大切です。
その大切な葉が、寒さによって傷み、落ちてしまうとどうなるか、想像できるでしょう。

特にまだ株が大きく生長していない幼木の状態では、さらに寒さに弱くなります。
同じマイナス7度の環境でも、成熟した樹なら耐えても、幼木では枯死してしまいます。

ユズは暖かい場所の方が育ちやすいのですが、
気温が低めの場所の方が、良い実がなります。

加減が難しいですが、冬にはしっかり寒くなるけれど、
マイナス5度を下回らない場所というのが、最適なのかもしれません。 



■幼木の耐寒性

ユズの幼木が、成熟した樹に比べて耐寒性が低いのは、
組織がまだまだ柔らかく、弱いためです。

成熟したユズであれば、表皮は硬くなり、寒さに対する抵抗も強くなります。
外側が強くなれば、内部に流れる樹液が凍りにくくなり、寒さに強くなるのです。

3年目までの若い株は、特に寒さに対して注意が必要です。
寒風に当てないようにしたり、防寒するなどして、
冬に落葉しないよう、寒さで樹液が凍らないように工夫してあげましょう。


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大木なら、マイナス5℃まで耐えられるそうです


■冬越しの工夫

日本の寒い冬は、成木になったユズにとっても厳しい環境になることがあります。
まだ若い木ならなおさらのことです。

寒さに耐えられず、春を待たずに突然枯れてしまわないよう、
寒さからユズを守る工夫をしましょう。

・防風
風は意外と寒さを強めます。
無風の場所と風の強いところでは、気温が同じでも、体感温度が全く異なります。

風吹いているだけで寒さが強くなるということは、
冬の間にユズに強い風が当たれば、当然冷害が起きやすくなります。

葉に風が当たることで乾燥して落葉の原因になったり、
強い風によって葉が飛ばされることもあります。

自宅の庭で育てている場合は、風通しを確保しつつ、
強い寒風が吹き付けるような場所は避けるようにします。

風が抜けにくい場所は、暑い時期は蒸れやすくなり、
寒い時は冷気が溜まって冷え込みます。

また、周りが開けている場所も、風の当たりが強くなりすぎる場合があります。
広い場所で育てるなら、防風林で囲むなどして、
ユズに強風を当てないようにしておきます。


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ユズに防寒対策をすると、芽吹きや開花の調子がよくなります


・防寒
冬の寒さによって、株が枯れることはなくても、
葉が傷んで落ちることがあります。

株が若いうちはもちろん、大きくなってからも、
できるだけ冬の間の落葉は避けたいものです。

株に直接寒さが当たらないよう、
不織布などで包み、防寒してあげましょう。

あまり木が大きくなっていると、覆うのが難しくなってきますが、
幼木のうちだけは必ず防寒すると、その後の生長も良くなります。

・徒長枝の処理
生育期間中に発生する徒長枝は、短枝などに比べると弱く、
冷害を受けやすい傾向があります。

幼木はもちろん、成木であっても、徒長枝は剪定して処理しておきましょう。

冬の寒さによって、徒長枝だけが傷むなら良いのですが、
最悪は株全体まで調子を崩し、枯れてしまうことがあります。


どうしても徒長枝を根本から切りたくない場合は、
夏秋枝に尿素を200倍〜300倍に薄め、3回ほど散布します。
こうすることで、枝の緑化が進み、耐寒性が強くなります。

・鉢植えのユズ
鉢植えにして育てているユズは、
鉢に直接寒風がふきつけると、根への影響が地植えよりも大きくなります。

冬の間も日当たりの良い場所に置いて、日光浴させることは重要ですが、
吹きさらしの場所に置いたままにするのは危険です。

夕方以降、冷え込みが強くなってきたら、
軒下などに移動させ、風を避けるようにします。

また、鉢部分を二重にするなどして、
外部からの影響を受けにくいようにしておくのも効果があります。


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こちらはレモンですが、鉢植えはこのように防寒すると良いです


鉢植えの場合、大きくなっても防寒できる程度であることも多いです。
実をつけるようになって何年も経つような株でも、
不織布で覆って防寒しておくのが安心です。

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