
一大ブームを築いたウチョウラン
・学名 Ponerorchis
・科名 ラン科
・属名 ウチョウラン属
・開花期 5月下旬〜7月上旬
・休眠期 11月中旬〜3月中旬
・難易度 中級者向き
・楽しみ方 鉢植え、石づけ、寄せ植え、ロックガーデン
[ウチョウランの育て方]
■ウチョウランの特徴
ウチョウランは山地の岩場に生え、
可憐な赤紫色の小花を咲かせる小型のランで、
ランの仲間の中では比較的栽培しやすいこともあり、
かつて一大ブームを築きました。
しかし、当時の乱獲のため個体数が激減し、絶滅危惧種に指定されています。
現在も交配育種が盛んで、次々と新品種が発売されています。
茎は斜めに立ち上がり、先端に多くの花を総状花序につけます。
唇弁は深く、3裂しています。
濃紫色の斑点があり、距を持っています。
葉は広線形状で、一本の茎に2〜3枚ついています。
夏に新しい球根ができ、冬球根だけで越冬します。

ウチョウランの仲間
■栽培適地と品種
・栽培適地
庭植えには向きません。
・用土と鉢
保水性と排水性を併せ持つ用土を好みます。
粒径2〜3mmの硬質鹿沼土5:焼き赤玉土か軽石2:
サツキ用山ゴケの粉3〜4の配合が一般的です。
市販のウチョウラン用の培養土も、もちろん利用できます。
鉢はやや小さめで深く、通気性の良いものが良いでしょう。
株に対して鉢が大きいと、過湿気味になってしまいます。
・主な仲間
千葉県のアワチドリや九州のクロカミランなどのほか、
多数の園芸品種が流通しています。
・品種
北半球の温帯〜亜寒帯に約100種があります。
日本では、ウチョウラン、ハクサンチドリ、ヒナチドリ、
カモメラン、オノエラン、ニョホウチドリの6種が分布しますが、
ウチョウランを除き、育てにくい品種ばかりです。
■植え付け・植え替え
・植え付け
休眠中〜芽出し直後の3月が植え付け適期です。
根が出てからの植え付けは、傷めやすいのでお勧めできません。
鉢にゴロ土を敷き、ゴミを取り除いた球根を、
芽が1cm前後埋まるように植え付けます。
深植えにすると、生育の際に株元が腐りやすくなってしまいます。
かといって浅植えすぎると、新芽が育ちにくくなるので注意します。
数球を植え付ける場合は、株間1cm前後とします。
植え付け後、表面に粒径5mmの富士砂か、焼き赤玉土を敷くと、
水やりしやすいのでお勧めです。
水やりは植え付けの2日後くらいからにすると、
球根の傷みが少なく、芽出しがスムーズになります。
・植え替え
植え替えは、植え付け同様3月が適期です。
根鉢を外して古い用土を落とし、
傷んだ根を整理して植え付けます。
植え替えは、毎年か、2〜3年に1回は行います。

ウチョウランの仲間
■栽培管理
日に当てると葉焼けしたり、萎縮して生育が悪くなるので、
半日陰でゆったりと育てます。
ウチョウランは葉に水が溜まるのを嫌うので、
雨除けをすると良いでしょう。
葉に水がたまると、葉が腐ってしまいます。
芽出しから30%遮光し、
水やりしやすいように株元を少し高くします。
葉が展開し、中心に花芽が見えてきたら、
50%遮光にします。
葉などに葉が焼けるようなら、
夏の間は70%遮光とし、涼しく管理します。
秋になったら再び50%遮光にし、
新球の充実を図ります。
休眠したら日陰に移すか、
球根を掘り上げて箱に入れて日陰で保管します。
寒さには強く、凍らせない限り大丈夫です。
・水やり
芽出しから開花までは、1日1回水やりをします。
開花までは茎がやわらかいので、
折らないように水差しなどで、そっと株元に水を与えます。
梅雨や長雨時など、乾きにくい時期は、過湿にならないよう、
土の表面が乾いてから水を与えるようにします。
葉が変色し始めたら水は控えめにし、
茶色く枯れてきたら、乾かして休眠を促します。
休眠に入ったら、表土が乾いたら、
軽くさっとなでる程度の水やりとし、乾かし気味に管理します。
・追肥
芽出し期に、少量置肥を施します。
生育期は、ラン専用の液体肥料を月1〜2回与えます。
ウチョウランは成長しながら花芽を作るので、
芽出し後に肥培をすると、花芽が充実します。
■増やし方
植え替え時に、分球で増やします。
株を鉢から抜き、古い用土を落とし、
脇に出ている小球を外して植え付けます。
■病害虫
多湿にすると軟腐病や立ち枯れ病が現れます。
葉に色むらが出たら、ウイルス病を疑います。
ウイルス病は治療の手立てがないため、罹った株は廃棄します。
ウチョウランにはアブラムシが付きやすいほか、
ハダニやナメクジ、バッタの食害にも注意します。
特にアブラムシはウイルス病を媒介するため、注意します。
*画像協力 みんなの花図鑑 https://minhana.net/
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