
アツモリソウは深山のランで、
袋状の唇弁が特徴のユニークな花をつけます
・学名 Cypripedium
・科名 ラン科
・属名 アツモリソウ属
・開花期 4月下旬〜6月上旬
・休眠期 11月中旬〜3月下旬
・難易度 中級者〜上級者向き
・楽しみ方 鉢植え、庭植え
[アツモリソウの育て方]
■アツモリソウの特徴
その花姿は平敦盛が背負った母衣(ほろ)に見立てられ、
アツモリソウ(敦盛草)と名付けられました。
花色は紫色で、線状がくっきりと目立ちます。
山野草愛好家なら一度は挑戦してみたい憧れの一種ですが、
性質は一癖あり、中級者〜上級者向きです。
以前は入手が困難でしたが、
最近は実生技術の発達により容易に入手できるようになりました。
しかし、未だに山どりの株が流通していることも事実です。
乱獲により、絶滅が危惧されている種です。
購入する際は、必ず山どりの株ではないものを求めてください。

クマガイソウ
■栽培適地と品種
・栽培適地
庭植えの場合は、明るい木陰の傾斜地に、
腐葉土などを十分にすき込んでから植え付けるとよいでしょう。
・用土と鉢
アツモリソウは、排水性・保水性・通気性の良い、
アルカリ性の用土を好みます。
また、過湿の用土を嫌いますが、根が乾くのも好みません。
山野草と高山植物の用土を1:1で混ぜた用土が良いでしょう。
市販の樹皮ベースの培養土でも良いです。
保水性を高めるため、水ゴケを刻んだものを、
2割ほど混入しても良いでしょう。
夏の暑さを嫌うため、鉢は、温度低下効果がある断熱鉢や、
小山飾り鉢の5〜7号が良いでしょう。
アツモリソウは十分に根を広げることが大切なので、
大きめの鉢を準備します。
・主な仲間
アツモリソウ属は、北半球に約40種があります。
低地に生えるクマガイソウもアツモリソウの仲間です。
アツモリソウ、ホテイアツモリソウ、レブンアツモリソウなどは
「種の保存法」の特定国内希少野生動植物種のため、
許可を受けている販売店以外では販売できません。
購入の際は、注意します。
また、チョウセンキバナアツモリソウは、
栽培・繁殖・譲渡の一切が禁止されています。
北アメリカやアジアには、面白い色や形の仲間もあります。

レブンアツモリソウ
・品種
クマガイソウは全国の野山に生え、大きな花袋が人気です。
鉢植えよりも庭植え向きで、環境が合えば育ちます。
ホテイアツモリソウは、本州中部の亜高山に生え、
ずんぐりとした花姿をしており、花色は濃紅色です。
「種の保存法」の特定国内希少野生動植物種ですが、
栽培増殖品や実生苗が出回っています。
レブンアツモリソウは、礼文島の特産種です。
黄色やクリーム色の花と、草姿の良さが人気を集めています。
「種の保存法」の特定国内希少野生動植物種ですが、
フラスコ実生苗が流通しています。
ドウトウアツモリソウは、名前の通り北海道東部に生えています。
花色は褐色で、日陰を好み、夏の暑さにやや弱いです。
海外種の中では、シプリペディウム・ケンタッキエンセが育てやすいです。
草丈が高く、花も大きく、見栄えがします。
半面、開花期に風で折れやすいです。
■植え付け・植え替え
・植え付け
芽出し前の3月中旬〜4月上旬か、
花後の5月下旬〜6月中旬が植え付け適期です。
鉢にゴロ土、元肥を入れたら、根を広げて、なるべく根が中心になるよう配置し、
芽の先端が2cm程度埋まるよう覆土します。
根の間にまんべんなく用土を入れて、
根や根茎の周囲に隙間を作らないことがポイントです。
・植え替え
植え付け同様、3月中旬〜4月上旬か、5月下旬〜6月中旬が適期です。
株を抜くといくつかの根茎が連なり、先端に芽があります。
根茎や根を傷めないように古土を落とし、
傷んだ根や地下茎を整理してから植え付けます。
植え替えは2年に1回が目安です。

クマガイソウ
■栽培管理
栽培がやや難しい種ですが、
とにかく秋まで葉を持たせて、芽の充実を図ります。
芽出しから開花までは30%前後の遮光、花後は50%遮光し、
ゆるく風の通る涼しい環境で管理します。
10月頃になったら再び30%遮光に戻して、芽の充実を図ります。
冬は芽が凍結しないように冬囲いなどを行います。
・水やり
成長期は1日1回水やりをします。
芽出しから開花までは葉や茎が柔らかく、ふらふらしているので、
鉢の縁から水差しなどで水やりをし、株を濡らさないようにします。
花後は株がしっかりするので、
通常通りじょうろから水やりをしても構いません。
雨の多い時期は、過湿を避けるため、
表土が乾き始めるまでまってから水やりをすると、根が傷みません。
休眠中は、用土が軽く湿っている状態を保ちます。
・追肥
芽出し後に、鉢の縁にラン用の固形肥料を置き肥します。
さらに、春と秋にラン用液体肥料を月1〜2回施します。

チョウセンキバナアツモリソウ
■増やし方
植え替え時に株分けで増やします。
鉢から抜いて、芽が増えていたら株分けできます。
出来れば根茎が2節以上になってから、分けます。
■病害虫
病気は、軟腐病、根腐病、白絹病、炭そ病、ウイルス病などに注意します。
葉先が黒くなったり、全体が萎れ始めたら、
根の先端が黒変して腐り始めている証拠です。
高温期、排水が悪いとよく起こります。
古根を切り、清潔な用土に植え替えます。
害虫は、アブラムシやナメクジ、ヨトウムシ、ハダニに注意します。
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