
夏ミカン・甘夏はさわやかな酸味が魅力の果実です
クエン酸を多く含み、疲労回復に効果があるほか、
ビタミンCも豊富なので、美容効果が高いのもうれしいところです。
樹形も美しく、果実がなっている姿は庭のアクセントになります。
夏ミカン・甘夏の育て方をご紹介しましょう。

1.冬の寒風が当たらない場所で育てます。
2.品種により収穫期が異なるので注意します。
3.春肥、夏肥、初秋肥、晩秋肥と1年に4回の施肥をします。
[夏ミカン・甘夏 庭植えの育て方]
■栽培適地と品種の選び方
・栽培適地
温州ミカンの栽培が可能な地域では栽培が可能です。
しかし、夏ミカン・甘夏が好む環境は平均気温が16.5度以上の温暖な地域です。
日本では、伊豆地方や、和歌山県の南端、九州南部になります。
冬場は北風が当たらず、日当たりのよい場所がよく、
排水が良ければ土壌は特に選びません。
・品種選び
夏ミカンは「夏橙」として苗木が売られていることが多いです。
酸味が強いのが特徴です。
甘夏の代表品種は「川野夏橙」です。
すっきりとした甘さと、適度な苦みが特徴です。
甘夏には、「川野夏橙」の他に、
「紅甘夏」「新甘夏」「スルガエレガント」があります。
「紅甘夏」は「川野夏橙」に比べ甘みが多めです。
「新甘夏」は酸フルーツとも呼ばれ、酸味が強い品種です。
「スルガエレガント」は、甘みが強く、ジューシーです。

樹の見栄えも、とても良いです
■植え付け
3月〜4月に植え付けを行います。
直径80p、深さ60pの植え穴を掘り、
掘り上げた土に腐葉土と完熟たい肥を混ぜておきます。
半分くらい埋め戻し、苗木の根を広げるようにして植え付けます。
根が隠れるように土をしっかりと被せたら、水をたっぷりと与えましょう。
■仕立て方
夏ミカン・甘夏は大きく育つので場所を取ります。
変則主幹形や、主幹形に仕立て、できるだけスリムな樹形に整えます。
■剪定
3月の収穫後、剪定を行います。
交差している枝や、徒長している枝、逆に向いている枝を切り落とします。
4月以降になると、木の生長が始まり、
発芽や開花、結果してくるため剪定をしにくくなりますが、
樹形を整えるために剪定を行うのは差し支えありません。
■栽培管理
・施肥
夏ミカン・甘夏の苗木に肥料を与える時は、
芽が伸びて根が活着したことを確認してから、控えめに行っていきます。
夏ミカン・甘夏の施肥の時期は、3月上旬の春肥、6月上旬の夏肥、
9月中旬の初秋肥、11月上旬の秋肥と、年に4回に分けて行います。
春肥は緩効性の有機肥料を、夏肥、初秋肥、秋肥は即効性の化成肥料を与えます。

色が変わっていく果実は素敵です
■果実管理
3月に越年した実で小玉なものや、傷のあるもの、
病害虫の被害にあっている実を摘果します。
■収穫
夏ミカンは酸味が強いので、樹につけたまま越冬し、
5月〜6月に収穫を行います。
甘夏では、酸味の少ない「スルガエレガント」の収穫は、
他のものよりも早くて2月〜3月に、そのほかの甘夏は3月〜4月に収穫します。
ただし、冬場の気温が低く、樹上で越冬すると実が凍ってしまう地域では、
12月ごろに収穫し、ポリ袋などに入れて追熟させます。

収穫!
■病害虫
病期ではかいよう病の被害が多く、注意が必要です。
かいよう病の他には、さび病が発生する危険性があります。
害虫は、カイガラムシに注意が必要です。
・かいよう病
果実、葉、枝に褐色の病斑を形成します。
濃緑色の水浸状円形で、拡がってくると亀裂をおこし、
中央部から次第にコルク化していきます。
春に葉が生え始めたころから発病して、雨に当たると広がっていきます。
病原菌は風でできた傷口や、ミカンモグリガの侵入してきた穴から感染します。
植え付け場所を風の当たりにくい場所にしたり、風よけを行い、
風で葉や枝がこすれるのを防ぎます。
ミカンモグリガの侵入には気を使い、見つけ次第駆除します。
病気にかかった枝を見つけたら、すぐに切り取って処分しましょう。
・カイガラムシ
カイガラムシは付着しているカイガラムシそのものや、
発生するすす病によって葉が黒くなることで美観をそこねるほか、
吸汁によって生長に悪影響を及ぼします。
カイガラムシを見つけたら、歯ブラシなどでこすり取りますが、
枝や幹を傷つけないように気をつけましょう。
幼虫は薬剤に弱いので、5月から7月にかけて月に2〜3回くらい、
薬剤を散布すると発生を防ぐことができます。
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