オリーブは育て始めると、けっこう夢中になってしまいます
オリーブは太古の昔から人々の生活に欠かせないもので、
たいへん大切に育てられてきました。
古代ギリシャではオリーブオイルは「黄金の液体」と呼ばれ、
特別なものとして扱われてきました。
現在、日本でもオリーブオイルは美容と健康への効果が評価され、
生活に欠かせないものとなっています。
最近はオイルだけではなく、塩漬けなど、
実のおいしさにも注目が集まっています。
科名:モクセイ科
別名:なし
英名:olive
性質:常緑低木
利用箇所:果実
栽培ポイント
1.乾燥ぎみに育てますが、夏の水切れには注意が必要です
2.冬に一定の寒さに当たらなければ花芽がつきにくいです
3.結実させるには2種類以上の品種を栽培します
オリーブの実は塩漬けやピクルスで味わいます。
また、熟した実をつぶしてしぼると、
自家製のオリーブオイルが出来上がります。
葉や枝が美しく、実も楽しめるオリーブは、
鉢植えで手軽に育てることもできます。
■品種
オリーブは庭木で伸び伸びと育てると、大きく育ちますが、
鉢植えでコンパクトに仕立てることもできます。
鉢植えで育てる場合、コンパクトに育つタイプが良いでしょう。
「シプレッシーノ」「アルベキーナ」「ルッカ」
「マンザリノ」「ミッション」「エル・グレコ」
などがお勧めです。
「シプレッシーノ」「アルベキーナ」は、
コンパクトな樹形で特におすすめです。
「マンザリノ」「ミッション」は実の収穫を楽しめます。
「ルッカ」は一本でも実をつけてくれるのがうれしい品種です。
また、「エル・グレコ」は樹形のまとまりがよく、
ツリーのように仕立てられ、実付きも良いです。
美しい葉と果実です
■栽培管理
オリーブは葉が美しく、鉢植えにすると、
素敵なインテリアになってくれます。
ただし、大きく育ちすぎないように、
剪定をやや強めにして樹形を整える必要があります。
開花させ実を早くならせたいのなら、ある程度樹を大きく育てたほうが良いです。
さらに、花を咲かせて、実をつけるためには温度管理が重要です。
5〜6月に花をつけます
・置き場所
オリーブは日当たりのよいところを好みます。
日当たりが良いほど生長も良くなります。
半日陰でも、なんとか育ちますが、
日照不足になると枝ぶりが貧弱になり、生長も弱まります。
・植え付け・植え替え
植え付け・植え替えに適しているのは3月〜4月です。
植え替えは、オリーブの生長を観察し、
少なくとも2年に1回を目安にしてあげます。
オリーブはアルカリ性の土壌を好みます。
酸度調節をした、元肥入りの培養土を用意します。
用土を自分で作る場合は、赤玉土(小粒)6対腐葉土4に石灰を混ぜ込みます。
鉢は苗期のポットよりも2回りほど大きなものを用意します。
鉢の底にネットを敷き、鉢底石を敷き詰め、培養土を入れます。
次にポットから引き抜いた苗木を、
根を軽く崩してから入れ、鉢の真ん中に入れます。
鉢のふちから2pほど下までしっかりと培養土を入れます。
支柱をたてて紐で結びます。根付くまで支柱は必要です。
最後にたっぷりの水をやります。
オリーブが結実しています!
・追肥
オリーブの追肥は3月と6月、9月〜10月の年に3回行います。
肥料はチッソ、リン酸、カリの3要素が、
バランスよく配合されているものを選びます。
3月は芽が動き出し、開花に向買う準備をする時期です。
一年で一番エネルギーを必要とするので、追肥は多めに施します。
6月は、肥料切れを補うために行うため、
肥料の量は3月の半分程度です。
真夏の暑さがやってくる前に施します。
9月〜10月の肥料は、収穫後のお礼肥料の意味で施しますが、
収穫が終わるのを待っていると休眠期に入ってしまい、
施した肥料を吸収できないため、早めに施します。
量は3月の半分程度です。
嬉しい収穫も、すぐです
・水やり
オリーブは乾燥気味な環境を好みますが、
夏の乾燥する時期の水切れも嫌います。
鉢の土が乾いたら、たっぷりと水をやります。
・冬越し
オリーブは霜や凍結に弱いのですが、
10度以下の低温に20日以上置かないと花芽をつけません。
冬の間は、霜の当たらない外や玄関先など、
置き場所を工夫しましょう。
・増やし方
オリーブの増やし方には太木ざしと、
緑枝ざしの二つの方法があります。
太木ざしは剪定したばかりの太い枝を、
培養土を入れた鉢に挿して育てます。
初心者にも失敗が少なく、生長も速い方法です。
緑枝挿し(挿し木)は、水上げした新芽を、
挿し穂にして育てていく方法です。
・剪定
オリーブは生長が早く、剪定をしないと樹形が悪くなるばかりか、
風通しが悪くなり、病害虫の発生の原因となります。
剪定に適した時期は3月〜4月です。
交差している枝を切り落とし、平行に伸びている枝を間引きます。
剪定によって、樹形を好みの形に仕上げますが、
あまり強く剪定しすぎると花が咲かない原因になります。
■収穫
オリーブの実は9月後半から12月末まで収穫できます。
9月〜10月の実は比較的若く、塩漬けに適しています。
11月になるとオリーブの実は黒く完熟していきます。
完熟した実は塩漬けでも、自家製オイルでも利用できます。
オリーブの塩漬け
◎収穫した実の利用方法
・グリーンオリーブの新漬け
9月に収穫できる若いオリーブは、渋みを抜いてから塩漬けにします。
渋みは、皮に切り目を入れて2週間水につけて抜きます。
渋みが抜けたら、3%の塩水につけます。
1週間ほどで食べられるようになります。
長く保存するときは塩分濃度を5〜8%まで上げます。
・ブラックオリーブオイルの塩漬け
完熟した実は渋抜きをしなくても食べられます。
10%の塩に1か月ほど漬けます。
・自家製オリーブオイル
完熟のオリーブの実をよくつぶし、
ゆっくりと濾すと黄金色のオリーブオイルができます。
■病害虫
オリーブにつきやすい虫には、
オリーブアナアキゾウムシやハマキムシがあります。
日頃から木の様子を観察し、早めの発見し、対処しましょう。
・オリーブアナアキゾウムシ
樹皮の下で孵化した幼虫が幹を食い荒らします。
幹の表面が変色して盛り上がったり、
株もとにおがくずのような粉がたまっていたら要注意です。
変色した樹皮を削り取って幼虫を捕獲します。
傷んだ部分はきれいに削り取ります。
大量発生した時は、アディオン水和剤、スミチオン乳剤、
ダントツ水和剤を規定通りに薄めて塗布します。
・ハマキムシ
ハマキガの幼虫が葉を綿のように白い糸で巻き、
中に潜んで葉を食べます。見つけたらすぐに取り除きます。
大量発生した時は、デルフィン顆粒水和剤を規定通りに薄めて塗布します。
*5点の画像は、季節の花300さんにお借りしました。
http://www.hana300.com/index.html
■オリーブのわかりやすい育て方
・オリーブの育て方|結実させるには受粉樹が必要
・オリーブ 花が咲かない原因は?
・オリーブ 植え替え方法は?
・オリーブ 挿し木|緑枝挿しと太木挿し
・オリーブ 室内での育て方は?